学生公開デザインコンペ最終結果発表
2020年度の学生公開デザインコンペでは、
淡路島の北部に位置する淡路市を対象としており、
「食」とランドスケープをテーマとして、ランドスケープの視点から提案を行っていただきました。
5月10日(日)に行われました一次審査会において、48作品から10作品が選ばれました。
5月22日(金)に一次審査を通過した10作品の動画によるプレゼンテーションをもとに
二次審査会を開催しましたので結果を発表します。
【講評】
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、全国各地で緊急事態宣言が発令され、大学等の立ち入り禁止や移動の制限があるなかでの学生公開デザインコンペの実施となりましたが、蓋を開けてみると登録数71件、応募数48作品と、前年と大きく変わらず多くの作品をご応募いただきました。
また、作品内容については、多くの制約がある状況にも関わらず、淡路市の現状や課題等について綿密に分析をされており、学生の皆様の意欲や、学生コンペの意義を十分に感じることができました。
二次審査については、例年通りの公開プレゼンテーションが行えないことから、パネル作品をもとに作成した動画を審査対象としました。その動画内容は大変に興味深いものであり、プレゼンテーション能力、動画作成技術の高さが伺え、非常に頼もしいものでありました。皆様のご努力に敬意を表します。
◆入選作品の特徴
淡路市を対象とした「食とランドスケープ」というテーマに対して、淡路の食、ため池、棚田、畦道、農業、海、漁業、神社、道具など、多くの地域資源に注目され、大いに議論された様子が感じられました。まず、今回の入選作品のほとんどは、設計の範囲が形のデザインだけでなく、地域経営、地域貢献の視点まで含んでいることが大変よかったです。
審査では、地域への貢献という点において、以下の特徴がみられたものを高く評価しました。
・観光だけではなく、セカンドライフ地、長中期滞在の地など、これからのポストコロナ時代における中山間地域の方向性を示唆する作品
・食をテーマとした地域の活かし方、耕作放棄地を活かした新たな空間像を示す作品
・地域の運営主体について言及する作品、アイデアの実現性や地域貢献につながる作品
・淡路で活性化している団体などを上手に把握し、活用している作品
そのほか、作品からみられた課題についていくつか述べます。
ため池に言及する作品が多く見られたが、堤体などのため池の構造、底樋や斜樋など、ため池の仕組みについてもう少し研究してほしかったと思います。また、提案の一部は発想として魅力的と思うものも多数ありましたが、具体な展開策や問題の本質まで掘り下げられている作品が少ないと感じました。そのほか、参考・引用文献等の明記を丁寧に行っている作品も見受けられましたが、全体的に既往研究や文献などからの引用に関する配慮が不足していたように感じます。
今回のコンペの結果を踏まえ、デザインを具現化するための知識の習得、研鑽を積まれ、実社会での活躍を期待致します。
日本造園学会2020全国大会学生公開デザインコンペ審査委員会 委員長 中瀬勲
【入賞作品の紹介】