【事業・マネジメント部門】介護老人施設「あさひ苑」のランドスケープ -終の住処は故郷の風景-
受賞者氏名:山本紀久・板垣範彦・伊東幸男
授賞理由:介護老人福祉施設の屋外環境において、地域の里山にちなんだ整備と維持管理を通じて、入居者にとって日常の活力向上につながる「杜」を育成し続けている。介護の専門家と造園家とが協調して示した「杜づくり」の考え方を、地域環境に精通した地元造園業者だけでなく施設運営者や介護職員を含めた関係者が一丸となって共有し、「杜」からの恩恵をケアに生かす方針が貫かれて実践されている。開園以降、設計者が毎年現地を訪れて管理指導、杜の意味や活用についての職員研修、樹木医による詳細な経年状況報告、入居者による俳句などの季節感表現、地元児童とのドングリ交流などが継続されていることは、特筆に値する。入居者にとっての心的身体的健康、充実感を伴って働ける職場環境、地域コミュニティとの関係を重視した施設経営、の3つが良好に相乗する事業・マネジメントの実績と成果は、「造園の進歩、発展に特に顕著な貢献」を果たすものとして高く評価できる。以上より、日本造園学会賞(事業・マネジメント部門)を授与するに相応しいと判断された。