【上原敬二賞】蓑茂 壽太郎 氏

蓑茂壽太郎氏は、1973(昭和48)年に 東京農業大学農学部造園学科を卒業後、東京農業大学農学部造園学科助手、専任講師、助教授、教授として2006(平成18)年まで造園学の教育と研究に携われ、さらに同年から2012(平成24)年までは熊本県立大学の理事長および教授をつとめられた。そして、2011(平成23)年から財団法人公園緑地管理財団(現・一般財団公園財団)の理事長を現在までつとめ、長きにわたり造園学の発展、造園業界の推進、そして人材の育成に取り組まれ、今なお造園界の発展に尽くされている。

氏は「都市公園の配置に関する計画学的研究」により農学博士(東京農業大学)の学位を得て、公園計画を端緒に都市農村計画、環境計画を幅広く専門として研究を展開し、『緑空間の計画技法』『都市緑地の計画と設計』に代表される著書・論文等を通じて多くの学術的貢献を積み重ねてこられた。

また氏は、建設省都市計画中央審議会専門委員、東京都公園審議会、神奈川県都市計画審議会、港区都市計画審議会、世田谷区都市計画審議会、茅ヶ崎市景観審議会、熊本県観光審議会委員等々その他多数の行政機関における有識者委員として社会貢献活動にも尽力されている。さらに大学評価・学位授与機構審査学位審査農学専門委員会委員、文部科学省大学設置・学校法人審議会専門委員など、広く高等教育の制度運営にも貢献された。

加えて氏は、登録ランドスケープアーキテクト(RLA)総合管理委員会初代委員長 として同制度の創設に尽力し、一般社団法人ランドスケープアーキテクト連盟(JLAU)の初代会長を務めるなど、造園家、ランドスケープアーキテクトの職能確立に多大な貢献を尽くされた。

学会活動としても本学会のみならず、日本都市計画学会副会長、農村計画学会副会長等の重責を担われたが、とりわけ本学会においては、1993~4(平成5~6)年度から、1995~6(平成7~8)年度、1997~8(平成9~10)年度、1999~2000(平成11~12)年度、2001~02(平成13~14)年度の間に理事、2003~04(平成15~16)年度に副会長、さらに2005~06(平成17~18)年度に監事、そして2007~08(平成19~20)年度には会長を務められた。この間、兵庫県立淡路景観園芸学校の開設準備や、造園CPD制度の創設等についても学会として尽力されるなど、極めて長きにわたり学会活動の内外における発展に貢献された。

以上のように、蓑茂壽太郎氏の造園分野における功績は、産官学のすべての領域にわたる造園界の発展に多大な貢献を残しており、日本造園学会上原敬二賞の受賞に相応しいと判断される。